今、世界が中国を注目している。しかし、我々外国人は中国をどれだけ理解しているだろうか。中国に長くいればいるほど、中国の事が分からなくなってくる。私自身も2年間の中国留学を通し、そんな印象を強く受けた。現地のメディアからの情報だけを見聞きしていると、あたかもその全てが正確であるかのような錯覚を覚える。
メディア・コントロールは、世界各国に存在するものであって特別なものではない。日本においても、メディア・コントロールは存在する。本論文では、メディア・コントロールが顕著に行われている中国を例にとって述べていく。
中国留学中に、私自身が実際に体験した中国共産党中央宣伝部によるメディア・コントロールの実態を研究する目的で、テレビとインターネットを中心に調べた。国際関係では2005年に起きた反日デモ、経営では世界企業の中国進出について書かれた論文は多くあるが、中国のメディアについて、またメディア・コントロールについての研究論文は非常に少なく、新しい分野の研究であるといえる。
第1章では、メディア・コントロールが日本にも存在し、社会主義国や中国だけの特別なものではないことについて述べた。
第2章では、中国テレビメディアの実態について述べている。娯楽番組として中国でリアリティ番組が隆盛している実例とその役割について考察した。また、中国における韓流と日本ドラマの衰退についても述べた。
第3章では、メディア・コントロールの実態について述べている。
本論文では、筆者の実体験を交えてメディア・コントロールの実態について考察した。また、インターネットにおける規制、現地での生活で私自身が見た中国の姿についても述べている。中国の国際化が進むにつれ、中国のメディアにどのような変化が現れるのか見守っていきたい。