ドラマでも小説でもマンガでも、物語を伴う作品を「面白い」と感じる人は多いが、そこから「なぜ面白いのか」と感じる人は少ないはずだ。なぜなら「面白い」という感覚は言葉では表しづらいことで、言葉で理論的に説明するよりも直感で理解させる方が伝わりやすいからだ。実際、他人が「面白い」作品をいかように熱弁をふるっても、どこが「面白い」かよくわからなかった、なんて経験は誰しもあるのではないか。
「何かを創ってみたい」「何かを描いてみたい」のような、創作欲はあるがどうすれば「面白い」作品を作れるかわからない人に向けてのガイドになるように思い、執筆したものである。作品を見るだけの消費側では、「面白い」ことに関して感じるままでもいいかと思うが、作品を創る創作側にやってきたからには「面白い」ことを素通りせずに、「なぜ面白いのか」と振り返ってそこに自分が惹かれた理由を、理論的に考えなければいけない。創った自分が「面白くない」と感じる作品は、他人に見せても「面白くない」と感じることが多いからである。普段あまり考えないことだけに、自分の好きな作品のどこが「面白い」のか、なかなか思いつかないのではないか。
本論文では「シナリオ演出」「キャラクター演出」「レイアウト演出」の三章構成にし、ネタの状態から目で見える物にするまでの過程に沿って説明するようにしてある。