怪異に見る日本人の文化と感情 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成19年度卒業研究概要集] [平成19年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
松田 喜好 ゼミ 平成19年度卒業論文
怪異に見る日本人の文化と感情
飯泉 杏平

現代人の中に怪異的存在、つまり妖怪や幽霊などのお化けの存在を信じている人はどれほどいるだろうか。大半の人は非科学的として信じないだろう。現代の多くの人とって怪異、妖怪や幽霊に関する話や感情は、ばかばかしい話として、笑い話や戯れ話という形で理解する対象となってきている。確かに非現実的で突拍子も無い話ばかりであり、信じられないのもうなずけるだろう。

しかし、現代の多くの人は不可思議な妖怪や幽霊の信憑性に疑問を抱いているにも拘らず、同様に不可思議な事象である占いや手相、神や仏の存在は多くの人は信じているのである。これらのものが人々に影響を与えていることは考えるまでもない。そして、占いなどが過去から現在にかけて人々に影響を与えてきたのと同様に、妖怪や幽霊などのお化け、つまり怪異が人々に影響を与えてきた、とも考えられる。

人々は『日本書記』や『古事記』に代表される古文献に始まり、多くの民話、歌舞伎や演劇、射的や双六などの玩具、現代では学園祭や遊園地などの化物屋敷など、様々な形でお化けと触れ合ってきた。これはお化けがその時代の人々や文化に影響を与えてきたことの証明だろう。

人々はお化けをどのように扱っていたか、そして人々や文化に与えてきたお化けの影響がどのようなものか、それを知ることによって日本人の精神や人間観、自然観などの片鱗がうかがい知れるのではないか。そして過去から現代にかけての精神や人間観、自然観の移り変わりを知ることで現代の日本人の文化の一部を理解することができるだろう。