ソフトウェア開発を海外に委託することは,米国,ヨーロッパからインドへというルートが注目されている。近年,受託先は中国,東南アジア,東ヨーロッパなどに広がり,日本の企業も委託側として中国,インド,ベトナムなどに発注する事例が増えてきた。日本語での開発を考慮すれば、日本企業の場合、中国オフショア開発が主流となっている。
オフショア開発においては,原価のほとんどが人件費で占められることを考えれば,これは自然な流れである。家電製品や衣料品のように,海外でプロダクトを生産し日本で消費する流れと原則として変わりないが,ソフトウェアのオフショア開発は「形」がない。異なる文化,言語をもつ国に見えないものの開発を委託するため,品質や納期など,さまざまな面で問題が起こってしまう。失敗例も少なくない。その失敗の多くは,中国の開発会社の実態を把握していないことに起因する。日本語の理解能力,開発に対する技術力,実績,管理面などが調査されないまま,単に開発コストが安いというだけの理由で発注してしまった事による場合が多い。
本研究は,一般システム開発とオフショア開発の流れを比較した上で,中国でのオフショア開発のメリットについてまとめ,さらに中国オフショア開発現場でよく起きる問題とその解決策について考察したものである。