ブラックバスは、適応力、繁殖力の他、その強い魚食性から在来種への影響が指摘されている。今や全国的にその生息域を拡大しており、漁業被害や生態系への影響が心配されているのである。
固有種の多く棲む琵琶湖を中心に多くの漁協が外来種による漁業被害を防止するために駆除の推進と密放流防止の啓発に努めているが、その一方、神奈川県及び山梨県下の4湖ではブラックバスを漁業権対象魚として活用している実態もある。ただ、その場合も、ルアーフィッシングに使用するワームから環境ホルモンが出るため、環境破壊が叫ばれている。
このような状況の下、「徹底的な排除の施策を講じるべき」という立場と「生息域の縮小を図りつつブラックバスの一部水域における利用を求める」立場とがある。私は後者の意見を支持したい。外来種は悪影響ばかり与え、その定着は全くメリットがないように思えるが、私はそうは思わない。山梨県の河口湖では、外来種であるブラックバスを釣りの対象魚として大きな経済効果を得ている。釣り客が河口湖周辺にもたらす経済効果は年間数十億円とも言われており、全国でのブラックバスの市場規模となると、1000億円相当あると考えられている。けれども、悪影響を与えているのは事実であり、駆除し根絶せよという意見は後を絶たない。一方的に「駆除するな」とか、「駆除しろ」というのではなく、今後どうするべきかということが大切だと思う。
価値を生む可能性が残されているブラックバス。既に全国に分布し、産業としても定着しているこの外来種と、うまく共生していく道はないかということについて、この論文であらためて考察した。