バブル崩壊をきっかけに、今まであまり注目を浴びていなかった不動産投資ビジネスは急激な成長をとげてきた。土地の価格がずっと上昇を続けるという「土地神話」は崩壊し、不動産を保有しておけば確実に利益が得られるというビジネスモデルは成り立たなくなっているが、そこで新たな不動産ビジネスをして注目されたのが、本論であつかう「不動産投資」である。
不動産投資とは、不動産を一つの投資対象ととらえ、不動産投資から得られる利益、資金収支(キャッシュフロー)を最大限にすることを目指すビジネスである。不動産に投資をし、自ら付加価値をつけることにより不動産の価値を上げ、最後に高く売却するために何をすればよいかを考えるのである。
このようなビジネスモデルが成長し、不動産投資市場が形成されてきた。これにともなう大きな変化は資金調達面の変化に見られる。不動産が証券化され、より多額の資金が調達できるようになり、不動産の有効活用や流動化が促されたのである。こうして資金の流入が活発になり、投資市場そのものの基盤整備も進んでいった。そして、2005年5月に投資信託法が改正され、運用対象に不動産が加って、不動産投資信託(J-REAT)の組成が可能になったのである。
こうした不動産投資全体の成長に伴い、その豊富な資金調達により近年では、大規模な都心部再開発や地方都市の開発などのプロジェクトが行われている。ただ、都心部周辺部や郊外では都心回帰などの現象によって格差が生まれ、深刻化している。一方で、景気回復による不動産需要の増加や、国内外からの投資資金流入により、投資が活性化している。
バブル崩壊から現在まで、急激に成長してきた不動産投資市場の盛況の要因にはどのようなことがあるのか。また、近年の景気回復や都心部の地価上昇により、バブルの再燃が起きるのではないか、このような問題を実態をふまえて考察した。