情報大ステーション2006第18回『青春をマーチにのせて』の制作 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成19年度卒業研究概要集] [平成19年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
伊藤 敏朗 ゼミ 平成19年度卒業論文
情報大ステーション2006第18回『青春をマーチにのせて』の制作
中村 友洋

この作品は、2006年度の千葉県マーチングコンテストに出場した拓殖大学紅陵高校吹奏楽部の、大会に向けた活動と本番当日の活躍を紹介したものである。

"マーチングコンテスト"とは、規定で決められたフィールドの中で隊列を組みながら演奏を行い、その音楽と隊列の動きの美しさを競うものである。

番組では、最初に高校野球での同校の応援演奏で名物となっている"木更津甚句"の演奏を紹介。つづいて同校での練習風景となり、バンド演奏とフラッグの演技が別々に練習している様子を見ながら、それぞれのポイントや難しさについて説明する。同部では、フラッグの演技も吹奏楽部員が行っている。校庭にフィールドのラインが描かれ、"マーチング"のルールが説明される。バンドとフラッグが一体となっての全体練習が始まり、指導にあたるコーチが紹介され、演出の方法が説明される。ドラムメジャーへインタビューし、部員全員が大会へむけて気合のこもった掛け声をあげて、スタジオに戻る。スタジオでは同吹奏楽部が、コンサートなどでの座って演奏する"シンフォニック"、スポーツの試合の"応援演奏"、そして"マーチング"の3つを活動の柱としており、全ての部員が、この3つの部門の全てに取り組むことが、同吹奏楽部の活動の特色であると説明される。

映像レポートの後半は、8月26日、幕張メッセにおける第19回千葉県マーチングコンテストの本番当日の場面となる。"フリースタイル"、"パレードコンテスト"、"パフォーマンス"、"フィスティバル"の四部門を小学生から中高生までのさまざまな団体によって華麗に演奏される。拓大紅陵高校吹奏楽部はフィスティバル部門に出場し、みごとな演奏と演技に、会場から大きな拍手が起こる。表彰式で同部はみごと金賞を獲得、部員たちは抱きあって歓声をあげる。スタジオに戻り、高校生レポーターが大会の感想と部活動の素晴らしさを語り、番組をまとめる。

この作品では、さまざまなスタイルの演奏活動を行い、厳しい練習に耐えながら音楽で結ばれている高校生たちのイキイキとした姿を伝えたいと思った。練習中の部員たちの真剣な表情、指導者からの厳しい指導、そして表彰式での歓びの表情などの場面によって、その狙いは達せられたのではないかと思う。技術面においても、大会当日には6台のカメラでさまざまな角度から撮影し、バンドがすばやく隊列を組んで移動する様子、それにぴったりとそろった旗さばきの美しさなどがうまく表現できたと思われる。表彰式の場面では、アリーナと観客席の2つの場面を、時間差で2度見せるという編集を行い、視聴者に受賞の喜びをうまく印象づけることができたと思う。

大会当日の会場では、演奏の最後までの撮影計画を十分に立てないまま臨んでしまったため、スタッフへの指示が行き届かず、撮り損なった場面もあったことが残念である。

作品の評価については高校生が真剣に練習に取り組む姿が伝わったという評価が多かった。また演奏中の全体のカットとズームしたカットの組み合わせが見やすくて良かったという意見もあった。しかし一方で大会結果直後のメンバーの感想や喜びの声があれば良かったことや、他団体の演奏ももっと見たかったという意見もあった。

この評価で自分が表現したかった高校生の真剣に音楽に取り組む姿が視聴者に伝えられたということがわかった。他団体の演奏をもっと見たかったという意見に対しては、15分番組の時間内では妥当であったと思う。

この番組の制作を通じて、スタッフに、ディレクターからの指示を伝え動かすということの難しさが実感され、このようなプロジェクトでは、コミュニケーションが大切だということを学ぶことができた。