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伊藤 敏朗 ゼミ 平成19年度卒業論文
情報大ステーション2006第10回『なでしこ女子サッカー部シュート!!』の制作
鄭 凱苓

この作品は、千葉県立成田北高校の女子サッカー部が、2006年度の千葉県大会(千葉県高等学校女子サッカー選手権)で、決勝戦に挑んだ姿を紹介した番組である。

成田北高校女子サッカー部は、15年前に創立され、現在の部員数は1年生から3年生まで37人。同校でも人気のある部活動である。2005年度の県大会でも優勝を果たし、強豪チームとして知られている。

番組では、スタジオに同部のマネージャーの二人を招いて、まず、練習風景の映像レポートを見ながら、女子サッカーの面白さや楽しさについて語ってもらう。映像レポートの後半では、2006年5月4日の千葉県大会準決勝の模様から紹介する。同部は順当に勝利をおさめ、決勝進出を決める。試合後、得点を決めた選手と顧問の先生にインタビューして、優勝への意気込みを聞く。翌5月5日はいよいよ決勝戦。宿敵である専修大学附属松戸高校との優勝争いは、互いに譲らず、1対1の同点のまま延長戦を終え、PK戦にもつれこむ。PK戦で成田北高校は遂に力尽き、優勝を逃がす。泣き崩れる選手たち。最後にスタジオで、高校生レポーターが「2連覇が達成できず残念だったが、関東大会では太田女子高校と宇都宮女子高校を破って6位に入り、千葉県の代表チームとしてはじめて全国大会への出場を決めました。さらに、千葉県総体では決勝戦で八千代松蔭を破って優勝。関東予選のリベンジを果たしました。」と述べ、そのメダルを披露する。司会者が、ますますの活躍を期待したいとエールを送って番組をまとめる。

この作品で描きたかったことは、男子のスポーツというイメージの強いサッカーに女子高生たちが挑み、その楽しさに目覚め、県大会優勝をめざして懸命に練習に励んでいる姿である。視聴者にも彼女たちの熱心さや、女子サッカーの楽しさ、魅力というものが、よく伝わる番組にできたのではないかと思う。

番組構成上の工夫としては、準決勝の成田北高校のユニフォームと、決勝戦の相手チームのユニフォームが同じような色であったため、視聴者が混乱しないよう、各チーム名をテロップで表示するとき、チーム名の背後にその日のユニフォームの色の「クッション」をつけたことである。これによって、視聴者は一目でチームを識別することができたと思う。

いっぽう、練習風景の映像では、休憩中のメンバーどうしの話し合いや、リラックスしている場面などがうまく捉えられず、試合と練習との雰囲気の違いがうまく伝わらなかったように思われる。取材にはいる前に、大体のシナリオを考えてから映像の素材を集めるべきだったという反省を残した。また、スタジオの雰囲気づくりも、もう少し工夫すればスポーツ番組らしく見えたのではないかと思った。

女子サッカーは一般の視聴者には、まだまだ珍しさを感じる人がいる競技ではないかと思う。その魅力は試合の映像をふんだんに見せることで最もうまく伝わるのではないかと考えて編集したが、視聴者からの評価では、プレーの映像が長すぎるのではという意見もあった。また、決勝に負けた選手たちに、その悔しい気持ちについて、もっとインタビューしてほしかったという意見もあったのだが、マスコミと異なり、われわれの番組では負けた選手たちにインタビューするのは気の毒なように思われ、それはできなかった。しかし、県大会決勝戦でPK戦に敗れた瞬間、泣き崩れる選手たちの涙を撮影できたことで、彼女たちの悔しさは十分に表現できていたと思われる。むしろ言葉よりもよく伝わったのではないかという気がする。

そのほかの評価としては、やはり、「女子サッカーというものを初めてみた」という人が多く、「新鮮に感じた」、「女子高校生の頑張っている姿に感動した」というものが多かった。番組の好感度について尋ねた項目では、高い評価と低い評価とがはっきり分かれた。このような評価になったのは、視聴者が、サッカー或いはスポーツに興味のある人かどうかで、大きく評価が分かれたためではないかと考える。

この番組を制作したことで、ふだん街で見かける女子高生像とは異なる、真剣なまなざしで明確な目標に立ち向かう、情熱あふれる生徒たちの一面を知ることができた。毎日の練習に励み、後輩を指導し、そしてチームのためにメンバー一丸となって取り組んでいる様子にとても感動した。そのイキイキと頑張っている高校生たちの姿は、視聴者の皆さんにもうまく伝わったのではないかと考える。