情報大ステーション2006第22回『ステージに弾ける!』の制作 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成19年度卒業研究概要集] [平成19年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
伊藤 敏朗 ゼミ 平成19年度卒業論文
情報大ステーション2006第22回『ステージに弾ける!』の制作
佐藤 広人

この作品は、2006年10月、千葉市中央公園を主会場として開催されたストリート系ダンスのイベント「Club YEG DanSpark」の模様を紹介したものである。

「YEG」とは商工会議所青年部のことで、このイベントを主催・運営しているのは千葉商工会議所青年部のメンバー達である。2003年のスタート以来、参加するチームは年毎に増え、ストリート系ダンスを楽しむ若者達の間に次第に定着しつつある。

番組は千葉市中央公園のステージをバックに、大学生レポーターが、「DanSpark」について紹介して、タイトルとなる。最初に千葉銀座通りで行われたパフォーマンス部門の模様を紹介する。パフォーマンス部門では、順位をつけることなく、それぞれのチームが路上でダンスを披露し、町行く人々がそれを囲んで一緒に楽しむ。続いて、中央公園の特設ステージでコンテスト部門が始まる。コンテスト部門では、各チームがダンスのテクニックや演技力を競い、審査員によって採点が行われる。にわかに降り出した雨で一時中断となるが、雨が上がった後、水浸しとなったステージの上を、商工会議所のメンバー達が懸命に雑巾をかける様子をカメラは追う。コンテスト部門の全チームの演技が無事終了すると、ゲストによるダンスやパフォーマンスが披露されて会場は一段と盛り上がる。最後に、グランプリを獲得したチーム"Gemelas"のダンスシーンの映像が流れ、エンドクレジットが重なって番組が終わる。

「情報大ステーション」は、通例では大学のスタジオから映像レポートを紹介するが、この番組は、ダンスを楽しむ人達の熱気あふれるステージの楽しさを伝えるために、大学生MCがレポーターとなってステージ前に立ち、ライブ中継のような雰囲気のある番組構成とした。ステージ前ではクレーンやドリーなどの特機も用いて、ダンスの躍動感を効果的に捉え、これらを含むカメラ5台が常にステージの模様を収録した。編集では、どのカメラの映像をどのように繋げばダンスをより上手にかっこよく見せることができるかを考えながら、音楽のリズムとダンスの動きをシンクロさせ、細かいカットを積み重ねていった。要所に主演者のインタビューも挟みながら、このイベントの楽しさが十分に伝わるような番組として完成させることができたと思う。

それとは逆に感じたのは、スタジオがない分、番組全体が単調な感じになってしまったのではないかということだ。ダンス自体は素人の人が見ても素晴らしく、ダンスが好きな人にとってはなおさら楽しんで見ることができるだろう。しかし、興味のない人が見たら、ただ踊っているだけという印象を与える作品になってしまった。全てを見せようとしすぎたところが反省点である。

この作品の評価については、「ダンスがかっこいい」、「今までにない情報大ステーションの形式で新鮮でした」という意見などが多かった。いつものようにスタジオを設けないということにこだわったのでこういった評価はありがたい。一方、「弾ける感覚が足りない」、「もっと裏側の映像が見たかった」という意見などもあがり、若々しさはあると自負していたので少し残念だった。そして、裏側の映像はこのイベントを陰で支える人達を追うという意味を盛り込む上での取材ならばありだと思うが、今回は、イベント主体の取材であり、また、編集の段階で尺がありすぎたため、結局入れないことにした。

この作品の取材は一日と短かったが、事前に何度か商工会議所青年部の会議や打ち合わせに参加し、こちらの要望や意見を取り入れてもらえた。そして、当日一日に前ふりや番組の締めのコメントなどの収録を凝縮したため、次から次へとやることがあってかなり大変な取材の一つになった。途中、雨も降り出して機材の保護やイベント自体続行するのかという不安もあり、終わった頃には肉体的にも精神的にもくたくたになっていた。同時に、そのみんなの頑張りや千葉商工会議所青年部の方々の協力もあり、今までにない情報大ステーションを制作できたと思う。そして、そのおかげでこのダンスパークの成功にもつながったと思う。番組制作、映像制作には、協力することが不可欠なのだと改めて実感した。