古代教義の宗教的また神秘的なありとあらゆる物の中に見え隠れする人間の潜在意識が成す神秘。そして無意識の世界を考えることで、神秘学として現在まで扱われてきた。学問を理解する事は可能ではないかと考えた。俗物的な書物や小説から始まり、古書に類する魔術書や宗教関連の書物を調べていくうちに思い知らされた事は、この魔術というのは至高の学問であり太古の昔から存在して居り、また世界各地に様々な形で今も継承しているという事だ。代表的なものに中国の八卦、練丹術、ユダヤ教のカバラ、日本の陰陽道、西洋のルーンやケルトの魔術がある。これらはまだ一般的に知られている類のモノであるが、世界各地にはその民族の数だけ様々な宗教や魔術が存在して居り、それら全てを研究していくのは膨大であり非常に困難だ。しかし、ここで興味深いのはそれら多数の魔術、信仰にもいくつかの共通点があり、綿密に完成された儀式の中にもどこか似通った点があるという事だ。本論文では魔術というモノを、一般的な、たとえばSF映画や小説の中の不思議な出来事や力としてではなく、学問として捉え様々な角度から見地する事でその正体を解き明かして行こうというものである。この論文を読んで、魔術そして神秘学について今までテレビやアニメ、映画等で得てきた俗物的、または仮想現実的な世界での魔術のイメージというものから開放され、この魔術という分野について真に理解を深めてくれたら幸いである。