日本の記者クラブとは、首相官邸、省庁、地方自治体、警察、業界団体などに設置された記者室を取材拠点にしている、特定の報道機関の記者が集まった取材組織である。基本的に記者室の空間及び運営費用は各団体が負担・提供し、記者クラブが排他的に運営を行う。クラブの会員数は約230社、2800人である。
記者クラブのメリットといえば、官庁などでは公式発表などを迅速にメディアに伝えて、取材から編集までの時間が大幅に短縮できる。また、地方自治体においても、情報を提供したい場合などに上位の自治体に設置されている記者クラブに連絡することにより情報発信が容易となる。さらに、一定の信頼性を有するメディアに所属する記者などに限定して情報を発表することにより、歪曲された報道を抑止する効果も持つ。記者クラブがなくなった場合、売名目的で歪曲報道を行うフリー記者が多数出現してしまうことが危惧される意見もある。
しかし、記者クラブの欠点も見え透いている。記者クラブ参加できるマス・メディアは、一般的に、NHKと日本新聞会・日本民間放送連盟の加盟社に限られており、雑誌・政党機関紙の記者やフリー・ジャーナリストは記者クラブに所属することができない。特定の加盟社がニュースを独占しながら、他方では、ほかのメディアの情報源へのアクセスを拒んで、情報独占の特権を享受している。また、記者室及び運営費用が基本的に取材側に無償提供されることもあって、情報提供側にとっては情報操作が容易になる。さらに、増え続ける官庁の広報、発表の処理に記者が追われ、どの紙面も似たり寄ったりの画一的な内容となる。
現在、記者クラブの改革についての意見はいろいろであるが、誰でも実効な対策が思いつかない。日本の報道における閉鎖的な体質の象徴として、海外メディアでも批判の対象となっている。