ここ1,2年で「ケータイ小説」という言葉を耳にするようになった。しかも、かなりの人気を得ているという。話題性から、私もいくつか読んでみたが、その作品の良さを理解することは出来なかった。しかし次々にケータイ小説が書店に並ぶようになり、その存在は無視できるものではなくなってきた。プロの作家でさえ10万部を売り上げる事が困難だといわれる中、素人が書いたケータイ小説が何故こんなにも売れるのであろうか。一体何がそんなにも読者を魅了させるのだろうか。
本論文はまず、ケータイ小説とはどのようなものかを明らかにする。その後、現在最も人気のあるケータイ小説だと言われている『恋空』を中心に、読者の心理を追いかける。そして、ケータイ小説を書籍化するという点において、出版社の視点からも取り上げた。
考察結果として、ケータイ小説は若者の低脳化の象徴ではなく、考え方や文化の変化の象徴の一つではないかという結論に至った。ケータイ小説には大人には理解し難い、新たな文化が詰め込まれている。