物の感じ方が人それぞれ違うように、音楽を聴くことによって感じることも人それぞれである。つまり、音楽聴取による気分変化は、人によって違うのである。しかし、そんな音楽でも多くの人からアンケートを取りそれを分析すれば、何か傾向がでるはずである。この論文は、音楽聴取によるアンケートを分析したものである。なお、このアンケート調査は、同じゼミ生の田代英一と共同で行ったものである。
アンケートの対象者は、主に東京情報大生208名(男性162名、女性46名)である。問1では、楽しいときに音楽を聴くかどうかを尋ね、もし聴くと答えた場合、その聴く理由とその時よく聴くジャンル、及びアーティスト名を答えてもらった。問2も問1と同じ形で、今度は悲しいときに音楽を聴くかどうかを尋ね、その後は問1と同じく、聴くと答えた場合はその聴く理由と、その時よく聴くジャンルとアーティスト名を答えてもらった。この2つの問は、音楽聴取による気分変化が何か他の事と関連性がないかどうかを調べるための問である。そして、問3では、ジャンルごとの音楽を聴く前の気分と聴いた後の気分を尋ね、気分変化のある体験があった場合、記入してもらうという回答形式である。また、問1、問2の分析は、私は担当しておらず、この論文では、問3のみをまとめた結果を載せている。
分析の結果は、男女共通して言えるのが、音楽を聴くとポジティブな気分になるということ、また、音楽を聴く前がポジティブな気分であった場合、その気分の度合いが増えるということである。ジャンル別に見ても、ほぼ全てのジャンルがこれに当てはまっていた。ただ、バラードだけは、聴いた後にネガティブな気分になる傾向がでている。そして、男性のみだが、ロックやパンクを聴いた後に攻撃的な気分になる傾向もみられた。