概 要
車体広告というジャンルの歴史は古い。ラジオ、テレビといった電波メディアはいうに及ばず、新聞、雑誌などの活字メディア登場以前から、それは存在していた。しかし、おかしなことであるが、現在こうした複雑なメディア環境の中で、一時期マス・メディアに薄がれていた車体広告の存在が、いま再び脚光をあびようとしている。それは恐らく、ひとびとの生活が「移動」の上に成り立つ都市化社会の進展と、深いかかわりがあるからであると思う。
第一章では、広告をどういう視点でとらえようとするのかについて科学と技術の視点と専門知識と技術の視点で二つに分けて説明する。第二章では、広告は分類基準をどこに置くかによってその種類が異なってくるので、その種類の主なものを説明する。第三章では、車体広告の実例として電車の広告と東京都タクシーの広告の写真を用いながらその効果にたいして述べる。第四章では、車体広告利用審査を内容で、デザイン審査、デザインに関する基準、色彩の表し方、会社名などの明記、タクシー広告自主審査基準などについて説明する。第五章では、デザインとその効果を中心にしてまとめる。
人は動く,情報に触れる。その行動に占める「移動」の時間量の増加が、これからの車体広告の価値を一層深めていくことになるのだ。