日本の豊かな水資源は、様々な種類の生物を育み続けてきた。なかでも豊富な魚類は食料として、そして釣りという形の娯楽の一つとして、古くから人々の生活に密接に関わり続けている。
1925年に日本に移殖されたブラックバスも釣りの人気対象魚で、全国各地へ急速に生息域を広げていった。生態系や生物多様性の破壊といった外来魚問題という新たな問題も浮上一方で、ルアーフィッシングという新たな文化を日本に定着させた。
今まで日本で定着していた釣りとは大きく性格の異なるルアーフィッシングという文化は、いまやイワナ・ヤマメ、マス類からブリ・カンパチなどの青物やアイナメ・カサゴ・メバルなど根魚までその対象となっており、ブラックバスだけにとどまらない。
一方で、マナーの悪い釣り人によるゴミのポイ捨て、近所で釣りをしたいというエゴによるゲリラ放流も現実に起こっている。人間としても釣り人としても許されない行為である。ブラックバスが市民権を得ることは可能なのか。そしてこの問題が今後どのように扱われるべきなのかを考えてみた。