本卒業研究は、移動手段の1つとしてのクルマだけではなく、その個人的・社会的な役割や、その利便性に故に招く危険性や問題、さらには自動車産業に支える伝統技術など、知られざるクルマと人との関わりについての研究を行った。
今まで空想世界の夢の乗り物だった自動車を実現させた人、動力の効率を上げるため新しい動力を開発した人、自動車を実用化レベルにまで仕上げ自動車産業を生み出した人。こうした人々の試行錯誤の結果が、自動車の基礎を確立させている。
日本では、戦後の経済成長と自動車メーカー双方の努力により、クルマの保有することが夢から現実になっていった人々。現在ではクルマを多くの人々が手に入れ、社会の循環において不可欠なものになった。しかし、それは同時にクルマの危険性をも痛感させられ、人々は交通モラルを問われることにもなった。
またクルマの利便性のみを重視し、御座なりにしてきた環境対策。それにより地球環境の悪化を引き起こし、それはクローバルな課題であると同時に、地域や個人にとっても身近なテーマとなった。いつの時代も最先端技術を取り入れ、社会に次世代のスタイルを提示してきた自動車産業にとって、環境問題は避けて通れない課題になっている。
クルマの技術が日々向上していく中、変わらない技術がある。それは日本が古くから培ってきた金型などの伝統技術であり、最先端の自動車技術を支えている。しかし、ここに来て少子化などで技術を受け継ぐ人が減少してきた。自動車メーカー側も、これに対して危機感を見せると同時に、効率よく次世代の技術者育成に試行錯誤している。
このように、クルマは今も昔も豊かな社会づくりの一翼を担っている。そのため、クルマと人の関係は切っても切れない関係にある。そして、人々が移動の自由や更なる可能性を欲する限り、このクルマと人の関係は今後も変わることはない