時代背景における自動車外観の変化 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成18年度卒業研究概要集] [平成18年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
小宮山 隆 ゼミ 平成18年度卒業論文
時代背景における自動車外観の変化
中山 裕行

自動車は近年の社会で必要不可欠な物のひとつになった。先人たちが発明してから数百年という歴史の中で、さまざまな国の文化や風土、社会的価値によって今もなお発展し続けている。単なる産業や移動手段にとどまらず、その時代を象徴する形態"デザイン"も変化し続けてきた。例えば、自動車を擬人化してみるとヘッドライトは両目であり、ラジエータグリルは口にあたる。このように車ごとに表情がある。私はこのような自動車に興味があり、特にデザインに着目した。

まず、第一章では自動車の前身である馬車を背景に、欧米の産業改革の移り変わりを自動車の発展から探った。工業製品が一定周期で外観を一新することをモデルチェンジというが、第二章では1900年代に「T型フォード」による大量生産方式の確立で「ビック3」の一角に君臨するフォード、これに対抗してデザイン重視のモデルチェンジによって活路を開いたGM、両社のシェアの移り変わりを述べた。第三章では近年のカーデザインにおいて外観の画一化や類型化が見られる点について考察した。第四章では将来ガソリンに代わる次世代の車とされる燃料電池自動車が開発されることによって、デザインにどのような変化が生じるかを検討した。

現在の感覚で生み出されるデザインには一貫性があり、モデルチェンジをしてもそれほど驚きがない。これまでの固定概念を破って、斬新な形の新しい車が減少している。今の自動車は大量生産方式が当たり前だが、初期の頃は職人による手作りであった。独創的なデザインは、自分の目で確かめ、自分の手で形に変えていくことによって、人と違った形、即ち遊び心を大切にしている形がこれからの時代に好まれていくと推測する。遊びは自分で工夫し、自らの発見、新しいものに賭けてみるといったことを抜きにはできない。これからは独創的で自由な車が生み出されることを期待したい。