宮崎駿と高畑勲〜スタジオジブリ〜 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成18年度卒業研究概要集] [平成18年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
小宮山 隆 ゼミ 平成18年度卒業論文
宮崎駿と高畑勲〜スタジオジブリ〜
草野 絵里奈

様々なヒット作を生み出している『スタジオジブリ』には二大看板監督として高畑勲と宮崎駿が活動している。本論では、二人の最初の出会いや、それぞれが携わった作品と歴史を辿った上で、この両者の関係がどのようなものなのか、作品に対する思考にどのような違いがあるのかについて同じテーマの作品を取り上げ、具体的に比較してみた。

ファンタジー肯定派の宮崎駿が完成の高い画力で現代が抱えるテーマを含んだファンタジーの世界を作り上げる半面、ファンタジー否定派の高畑勲はあくまで現実の世界に根ざした理論的・批判的な表現に徹する傾向を持つ。スタジオジブリのアニメーションは、こうした対照的な二人によって、例えば、宮崎の作品に対して高畑が批判し、さらに宮崎はその批判を受けて作品を仕上げるといった方法がとられてきた。こうして、ひとつのことに対して違う方面から視線を向ける二人がいるからこそ、より良い作品を作り上げることができてきていると思われる。

そんな中、新作の劇場アニメの監督を宮崎駿の長男、宮崎吾郎が務め注目を集めた。"ジブリの今後"を占うもの、ジブリの"跡取り"などとして、想像以上の期待や厳しい目で見られ、話題になったが、興業的にはいまいちの結果に終わった。宮崎・高畑の拮抗の中で豊穣な作品を産み出してきたジブリの今後がどう変わり、今までと同じ宮崎・高畑の色で進むのか、非常に興味深い。