この作品は、四街道市和良比皇産霊神社において行われた「四街和良比はだか祭り」を地元高校生が映像リポートしたものである。
この祭りは、毎年2月25日に四街道市和良比皇産霊神社で行われる。江戸末期から行われている伝統行事で、四街道の泥んこ祭りとも言われる。ふんどし姿の男衆が五穀豊穣と子供たちの健やかな成長を祈って赤ん坊の顔に水田の泥を塗ったり、神田の中で騎馬戦や泥の掛け合いを行う祭りである。
作品では、まず、皇産霊神社の前での高校生の自己紹介とタイトルに続いて、高校生リポーターが皇産霊神社殿で「祭礼の儀」、「直会の儀」を見学する。餅投げが終わると、ふんどし姿のはだか衆がお祓いを受け、赤ん坊を抱いて氏神様にお参りする。その後、社殿に飾られた注連縄から稲藁を抜き、田圃に向かう。はだか衆が田圃に着くと、赤ん坊の無病息災を願い稲藁を筆代わりにし、泥を付け赤ん坊の顔に塗る。それが終わると、田圃でははだか衆による騎馬戦が始まり、最後は3本締めで祭りをしめくくる。
この作品のテーマは、江戸末期から行われている伝統行事である四街道の文化を千葉県全域に知ってもらうことにあり、これを高校生が体験することにより、若い世代の人にも身近に感じてもらうという意味でもある。そのねらいは、番組としては達せられたと思っている。
ただ、『情報大ステーション』の第1回の取材番組ということもあり、技術的な部分を考えれば、構図の決め方やカメラの使い方において、至らない点が目立ったように思えた。
番組構成で言えば、はだか祭りといえば騎馬戦がメインであり、4回戦もある騎馬戦シーンを繰り返したのは、見る側からすれば退屈だったのではないかという気もする。視聴者の目線を意識して、制作していればよかったのではないかという反省点がある。
この作品の評価については、高校生が生き生きとして高校生らしさが伝わって好感を持てたという意見が多かった。その反面、スタジオの大学生MCの表情が固く、高校生とのギャップがあるという意見もあった。このような評価があったのは、第1回作品ということで、大学生自身が番組制作に不慣れだったせいではないかと考える。
この作品の制作を通じて、視聴者側を意識した映像制作を行い、その作品を公共の電波にのせる大変さを学んだ。「視聴者を意識」とすると、見ていても飽きない番組構成や視聴者側の年齢層などさまざまな点に注意を払わなければならないということを学んだ。しかし、地域に根付いていた文化を取り上げ、その良さを伝えるということは、ささやかではあるが地域貢献になったのではないかと考える。