情報大ステーション2005第15回『水上の熱き闘い〜県立佐倉高校カヌー部〜』(2005年10月8日放映)の制作 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成18年度卒業研究概要集] [平成18年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
伊藤 敏朗 ゼミ 平成18年度卒業論文
情報大ステーション2005第15回『水上の熱き闘い〜県立佐倉高校カヌー部〜』(2005年10月8日放映)の制作
丸山 千弥

この作品は、千葉県立佐倉高校カヌー部が、全国高等学校カヌー選手権大会に出場し、カヌーポロの部で準優勝を果たした軌跡を描いたものである。

カヌーポロは1人乗りのカヌーに乗って、5人対5人で行なう水上のポロ競技である。競技エリア(コート)の両端、2メートルの高さに設置された四角形のゴールにボールを入れると得点となるという、水上で闘うスポーツである。佐倉高校カヌー部は、このカヌーポロ競技で、常に全国大会で好成績を残す屈指の強豪チームなのである。

映像レポートでは、まず、佐倉高校放送委員会のレポーター2人が、佐倉市青少年カヌー場(印旛沼)での練習風景をリポートする。当日は、佐倉高校カヌー部と地元の社会人チームである佐倉インバースとの練習試合が行われており、その模様を紹介しながら、カヌーポロのルールを説明する。このスポーツの特徴である、ボールの奪い合いやポジション争いのためのカヌー同士の激しいぶつかり合いを捉えた映像が連続し、その激しさや面白さを伝える。佐倉高校が社会人チームに攻め込まれる場面が続くが、実は対戦相手の佐倉インバースが世界相手に活躍する強豪チームで、このような強いチームと普段から練習を重ねていることが佐倉高校の強さの理由だと説明される。その後は佐倉高校の好プレーの場面も見せ、攻め込まれてばかりではなかったということを表す。佐倉高校カヌー部の直井コーチにインタビューし、全国大会への目標について「勿論、優勝です」という力強いコメントを頂く。スタジオに戻り、映像レポートの後半は大学生司会者がレポートしてきたことを説明し、この年の夏、山梨県の精進湖で行われた平成17年度全国高等学校カヌー選手権大会の模様となる。佐倉高校カヌー部の試合の様子を順を追って紹介し、準優勝という結果で大会を終える。表彰式の様子、選手へのインタビューなどの場面のあと、スタジオへ戻り、司会者が「みんなで努力して頑張った経験は、一生の宝物になることでしょう」とコメントして番組をまとめる。

この作品では、高校生がカヌーポロというスポーツに打ち込み、必死な努力を重ねている姿を描こうとした。番組の構成では、佐倉高校がリーグ戦を突破した後、決勝ラウンドの初戦で一度は敗れた愛知県の三好高校に再度挑み、延長戦の末に劇的な勝利を果たす場面を中心に描いた。そのために、三好高校戦の2つ試合については、他の試合よりも長く扱い、他の試合はゴールシーンを中心にダイジェスト的に描写した。大会の撮影では、試合全体を収める横位置からの全景、ゴール裏、そして選手の表情をアップでとらえるためのコート際の3箇所にカメラを置いて撮影を行ない、このスポーツの躍動感をうまく伝えることができたと思う。

大会の進行方式が複雑で、十分に説明しきれなかったことは反省点である。また、前半の練習風景も試合形式であったため、番組全体が試合中の似たような場面ばかりになってしまった。視聴者からの評価でも、「試合の記録にウェイトがかかっている」、「練習と本番とが同じ内容のものが多かった」という意見があった。大会前日に撮影した合宿所での風景など、試合以外の選手たちの表情を入れることができたら、より面白い番組になったのではないかとも思えるが、今回は限られた放送時間の中で、白熱した試合の模様や、そこでの選手たちの頑張りを中心に描こうとした。シナリオや編集においても、試合を直に見てきたことで感じた迫真性や熱気を伝えようと努めた。視聴者からは、「カヌーは速さを競うだけのスポーツと思っていたが、こんなに激しいものもあるのを知った」という意見もあり、カヌーポロというスポーツの魅力について、うまく伝えることができたと思われた。

この作品の制作を通し、人に伝えるということの難しさと面白さを知ることができたと思う。自分は現場に行っているため、その場の雰囲気や状況を知っているが、何も知らない人にそれをいかに伝えるか、目で見ることができる映像であっても、それが難しいことだということを改めて知ることができ、考えさせられた。しかし、完成したときには大きな達成感があり、「面白かった」という感想をもらって嬉しかった。非常に貴重な経験ができたと感じている。