この作品は、県立四街道北高校の生徒がレポーターとなり、県立千葉工業高校山岳部の活躍の様子、そして彼らが現在、熱心にとりくんでいる「スポーツクライミング」という競技の楽しさについて紹介したものである。
スポーツクライミングとは、人工的な壁を作り、ホールドと呼ばれる突起物を壁に取り付け、自分でルートを設定しながら登っていくというスポーツである。登った高さを競うものや、登りきるまでの時間を競うものがあり、若者から年配まで幅広い年齢の人々に行われるようになってきた。県立千葉工業高校山岳部のメンバーも、高校の中にスポーツクライミング用の壁を自分達で制作して、活動に励んでいる。
作品では、まず、県立千葉工業高校の校舎の前で高校生レポーターが自己紹介、ついで同校内に作られた巨大なクライミング用の壁を見て、その大きさに驚くところでズームバックしてタイトルとなる。山岳部員の練習風景を見ながらスポーツクライミングについて紹介、ルールや方法について説明する。つぎに高校生レポーター自身が、クライミング用の靴に履き替えて、同校内の低い練習用の壁でスポーツクライミングを体験してみる。レポーターの一人は、苦労しながらも頂上に達し、喜びの表情を浮かべ、このスポーツの楽しさをアピールする。そして山岳部員にインタビューを行ってスタジオに戻る。スタジオではレポーターが自身の体験の感想を述べ、また、千葉工業高校山岳部が、丹沢で合宿研修をおこなってきた模様の映像を紹介する。そして平成17年度千葉県高等学校スポーツクライミング大会の当日を迎え、レポーターが会場へ行き、予選から決勝、表彰式までの様子を追う。最後にスタジオに戻ってきて、大会の感想を述べ、スポーツクライミングの素晴らしさについて語りあい、番組を締めくくる。
この作品では、スポーツクライミングという、まだメジャーとは言えないが最近普及しつつある新しいスポーツに熱心に取り組む高校生たちの姿を伝えたいと思った。高校生レポーターが実際にクライミングを体験したり、熱気あふれるスポーツクライミング大会の様子を紹介することで、そのねらいは達せられたと思う。技術面でも、千葉工業高校での撮影にクレーンを使い、クライミングの高さや躍動感といったものを、うまく表現できたのではないかと思う。なお、大会での取材では、壁の上にカメラを置くことができず、選手の表情が後ろや横からしか撮れなかったことが残念だった。
今回の番組の中心となったのは県立千葉工業高校山岳部の選手であったのだが、当番組としては、競技の結果よりも、レポーターの体験や大会全体の模様を伝えるということにポイントを置いてストーリーをまとめた。
この番組制作を通じて、多くの方々(高校生・高校教諭・社会人)と出会い、さまざまな話を聞くことができた。世代の異なる方々と接することで態度や言葉遣いにも気をつかい、よい社会勉強になった。また、自分自身もスポーツクライミングというユニークなスポーツについて詳しく知ることができた。地上波テレビの放送に流すということで、テープの納品期日や、一般家庭における視聴者のことを考えた見やすい番組にしなければならない、などのプレッシャーがあったものの、学生時代にこのような体験ができたのは貴重なことであった。そして仲間と一緒にひとつ作品を完成させる喜びを得られたことが、大変良い思い出になった。