この作品は、映画『妖怪大戦争』の撮影現場に、東京情報大学の学生が大挙エキストラとして参加した様子を紹介したものである。映画の舞台裏についてのレポートと、映画の宣伝を兼ねた、「情報大NOW」特別編として制作・放映された。
映画『妖怪大戦争』は、角川グループ60周年を記念して製作され、2005年夏に全国ロードショーされた劇場用映画である。映画の内容は、泣き虫でいじめられっ子の少年が、ひょんなことから、正義の味方"キリンソウシ"となり、日本全国に棲む日本古来の妖怪たちと力を合わせて、悪霊(あくりょう)軍団と戦うという冒険ファンタジー映画である。製作は角川映画、監督に三池崇史、出演は神木隆之介ほかである。
作品では、まず、スタオ映像で、東京情報大学における映像教育関係の授業や、映像ゼミナールの活動について、実際に講義内容やゼミの模様などを記録した映像を用いて紹介する。次に、映画『妖怪大戦争』について簡潔に紹介した後、実際に同映画の撮影当日の映像となる。総勢48名の東京情報大生が、貸し切りバスを仕立てて東京調布の角川大映撮影所に乗り込むところから始まり、スタジオ内での衣装合わせやメイク、そして撮影本番の模様で構成されている。衣装合わせやメイクのシーンでは、エキストラとなった学生たちのコメントが紹介される。映画撮影の場面では、特殊映像技術の紹介や、三池監督の指揮ぶり、撮影の合間の休憩の様子、さらにワイヤーアクションの仕掛けや、エキストラ全員によるウェーブシーンの撮影風景などが紹介される。そしてスタジオに戻り、今回のエキストラ体験の感想について述べあった後、『妖怪大戦争』の予告編を紹介する。最後にスタジオで、司会者が、「こういう体験を、これからの私たちの映像制作にも、活かしていきたい」とまとめる。
この作品で描きたかったことは、映像を用いたコミュニケーションについて学ぶことの意義である。すなわち、まず、東京情報大学映像ゼミナールの活動紹介を通じて、どのような映像教育が行われているのか、そこで習得されるコミュニケーション能力の大切さなどについて紹介した。つぎに、『妖怪大戦争』という、劇場用大作映画へのエキストラ参加という貴重な体験を通じて、普段はなかなか見ることのできない映画の撮影現場の模様、映画がどのようにして作られていくのかについて紹介をした。
番組レポーターには、当番組の司会者でもある学生を起用し、視聴者が親近感を持てるように構成した。また、角川映画から提供された本編映像と、学生が参加した撮影現場の映像とを見比べられるようにしたことで、製作中の場面と、完成映像との違いが、よくわかるように示した。映像メディアというものの面白さや、映画の出演者やスタッフの間のコミュニケーションの重要性といったことついても表現できたものと考えている。
いっぽう、短い放送時間枠での作品ではあるが、エキストラ参加した後の様子、特にレポーターである沢田千夏さんの参加後の姿について紹介すべきであったという課題を感じた。
この作品の評価については「映画を見に行きたくなった。」、「映画製作の裏側と紹介するのは面白い。」というものが多かった。また、「情報大ステーションではなく、『妖怪大戦争』の宣伝になってしまっている。」という意見もあった。このような評価があったのは、東京情報大学の紹介が少なかったのではないかと考える。
通常の「情報大ステーション」は、高校生レポーターを用いて、千葉の地域の話題や文化、高校生のイキイキとした姿などを紹介する番組だが、この「妖怪大戦争に大潜入!」は異色の作品となった。高校生の登場がなく、千葉の話題紹介でもないということのみならず、大学生である私が一流メジャーの映画会社である角川映画の映画を紹介するテレビ番組を制作して、地上波での放映を果たしたということである。「情報大ステーション」を通して、他の大学では学べない貴重なことを私は得たと確信している。