この作品は、千葉県内の高校演劇部の顧問の先生たちが設立した演劇集団「コモンセンスカンパニー」の公演の様子を中心に、そこで活躍する先生たちや高校生、卒業生たちの姿を描いたものである。「コモンセンスカンパニー」は、1984年に旗揚げ以来、千葉県の演劇教育に大きな実績を残してきた。
作品では、まず、稽古場でもある県立市川東高校に、演劇部員である高校生レポーター二人が訪ねる。練習する声が聞こえてくる教室に入ると、白熱した演技に励む先生たちの姿が飛び込んでくる。思わず見入ってしまう高校生レポーター。今回の舞台の主役である見上先生の表情がアップになる。画面は替わり県立松戸高校。教壇に立つと教師の顔になる見上先生の授業風景。そして放課後、演劇部の練習が始まると、見上先生はまた役者に変身、部員たちの指導にあたる。部員の生徒たちと見上先生にインタビュー。ここでスタジオでのトークが挿入され、「コモンセンスカンパニー」の名前の由来(顧問のセンスを磨く集団という意味がある)などを語った後、再び映像レポートとなり、今年の公演にむけて舞台のセットを制作しているところや、会場での仕込み風景が映る。そして、本番当日を迎え、本公演『煙が目にしみる』の模様をダイジェストで紹介する。カーテンコールの後、演出を手がけた古谷先生、主役の見上先生、舞台裏で活躍していた高校生たちにインタビューする。最後に、スタジオで、高校生レポーターが「先生たちの姿をみていると刺激をうける」「他の学校の先生や生徒と力をあわせることができて、素晴らしい思い出になった」と述べ、司会者が「演劇は、コミュニケーション能力を築く意味で、大切な教育になる。」とまとめる。
この作品で描きたかったことは、さまざまな学校の先生や生徒たちが演劇教育の場で交流し、ひとつのものを作り上げていくことで、コミュニケーション能力や人間性の向上が図られていく姿である。実際、番組に登場する高校生たちは、皆とても溌剌として喋ることが上手で良いインタビューが得ることができ、演劇教育の成果というものをうかがい知ることができた。
一方で、タイトルにもなっている「生徒が支える」というところがわかりにくかったかとも感じる。生徒が舞台裏で熱心に取り組んでいる様子を、もっと取り入れるべきだったと思う。
この作品の評価については「先生と生徒によって作られる演劇があるとは知らなかった。この関係は素晴らしい」という好意的な意見が多かった。
この番組の制作を通じて、人と人とのふれあいの大切さを感じた。先生や高校生たちの活動や実際に話をしたりしたことは、とても良い刺激になり、自分も励まされる思いがした。
演劇という場で交流している先生や高校生たちと、私たちは、この番組作りを通じて交流を持つことが出来た。この出会いにとても感謝している。