情報大ステーション2005第21回『こちら佐倉子ども放送局〜佐倉市・NPO子どものまち〜』(2005年11月19日放映)の制作 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成18年度卒業研究概要集] [平成18年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
伊藤 敏朗 ゼミ 平成18年度卒業論文
情報大ステーション2005第21回『こちら佐倉子ども放送局〜佐倉市・NPO子どものまち〜』(2005年11月19日放映)の制作
佐藤 絵里奈

この作品は、佐倉市ユーカリが丘にあるFMラジオのスタジオを使って、地域の小中学生らがDJ体験や番組制作を行ない、子どもたちの目線で地域情報を発信するという、インターネットのラジオ番組「佐倉子ども放送局」の活動について紹介したものである。これは、佐倉市が地域の活性化を図るために地域商店街と共同して行なっている"子どものまち「ミニさくら」"の活動の一環として行なわれた試みである。

作品では、まず、高校生が佐倉子ども放送局について紹介する。タイトルに続いて、子どもたちが佐倉市中志津商店街に集まり、CM制作のためクリーニング屋さんとおせんべい屋さんに取材しに行く。取材が終わるとCMの原稿作りに取りかかる。ここで「ミニさくら」という、"子どもたちが主体となって町を運営する"というユニークなイベントについて紹介し、その運営にあたったNPO法人「子どものまち」代表の中村桃子さんにインタビューする。次に、「子ども放送局」の本番当日、佐倉市ユーカリが丘にあるbayfmのサテライトスタジオに子どもたちが集まってくる。まず発声練習をした後、CMの収録に取りかかり、その傍らでは本編の台本確認が行なわれる。やがて子どもたちの緊張した表情とともに、本番の収録が行なわれ、無事に終了する。子どもたちの感想を聞き、「子ども放送局」のサポートにあたった高千穂ネットワークの中村正明さんにインタビューし、この日制作したラジオ番組の内容について紹介する。スタジオで、司会者が、「素晴らしいメディアリテラシー教育だ」とまとめる。

この作品で表現したかったことは、このようなメディア活動を通して、子どもたちが自ら地域の情報を収集し、メディアを通じて発信するということを体験し、自分たちが住む地域に対する関心や問題意識を育くまれていく姿である。主役である子どもたちが、メディアにふれあうことでイキイキと目を輝かせる様子、本番に臨んで緊張した顔、終了後の喜びの表情などが、よく撮れていたと思う。子供たちの自然体のリアクションに助けられた部分が多々あった。

サテライトスタジオを外部からガラス越しに撮影するときは、表面に外景が反射して撮影が難しかったが、黒いビニールで遮光するなど工夫し、良い映像が撮影できた。ただ、スタジオの内部は狭く、カメラの場所が一定で、映像に変化をつけるのに苦労もした。

この作品の評価については「子どもたちに感心したし好感が持てた」というものが多かったが、「焦点を合わせる部分が違うのではないか」という意見もあった。このような評価があったのは、「子ども放送局」と「ミニさくら」の説明が入り混じって、どちらがメインテーマなのか、分からなくなってしまう部分があったからではないかと考える。

この作品の制作を通じて、子どもたちにとってメディア体験というのはとても有意義なことであること、そのような活動で、子どもたちの自然体の表情をとらえるのはとても良い映像になるということ、また撮影場所の制約等があっても、さまざまな対策を考えて工夫を凝らすことが、より良い番組づくりにとって重要だということを学んだ。取材のあいだ、小学生から社会人まで様々な世代の人たちと接し、対話しながら一つの仕事を実施していくことの難しさと楽しさを実感した。