この作品は、ユニークでハイレベルな音楽活動を行っている、県立富里高校ジャズオーケストラ部「ザ・マッド・ハッターズ」の練習風景と、彼らが県立現代産業科学館で、アメリカワシントンD.C.のハワード大学ジャズ・アンサンブルと競演したジャズコンサートの模様について紹介したものである。
ザ・マッド・ハッターズは、「東京ディズニーランドで演奏しよう!」をスローガンに、1987年にジャズバンド部として結成された。その後、ジャズオーケストラ部となり、全国的な演奏会への参加や、海外のミュージシャンとの交流なども盛んに行い、県内の公立高校では唯一のジャズオーケストラ部としてよく知られている。
作品では、まず、ジャズオーケストラ部に所属している2人が、富里高校の校舎前で自己紹介をする。次に、校舎内での練習風景を紹介し、指導にあたっている講師の篠原先生、部員たちにインタビューをする。スタジオに戻り、アメリカの大学生ジャズバンドとの競演について話しがすすみ、コンサート当日の映像がスタートする。リハーサルの模様に続いて、本番が始まる。まず、ザ・マッド・ハッターズの演奏、次に、ハワード大学ジャズ・アンサンブルの演奏、そして、両バンドが一緒になって演奏する場面となる。ステージの後の記念撮影風景や関係者インタビューを紹介、スタジオに戻り、感想を述べて番組を終わる。
この作品で伝えたかったことは、高校生でありながら、ジャズという分野でハイレベルな音楽活動をしている富里高校ジャズオーケストラのメンバーたちが、ジャズの楽しさと素晴らしさに親しむことでイキイキとした高校生活を送り、またジャズによって交流の輪を拡げ、人間的に成長をとげていく姿である。部員たちへのインタビューの内容のエッセンスを巧みに編集することで、彼らが全身でジャズを楽しんでいることを表現できたと思う。高校生が最初にスタジオに登場した場面では、手には何も持っていないが、司会者が「みなさんはどんな活動をしているのですか?」と聞くと、特殊効果によって、高校生の手に楽器が出現したり、演奏シーンでフォーカスインやディゾルブなどの効果を用いるなど、映像的にも工夫を凝らし、全体として番組テーマを上手く伝えることができたと思っている。
ただし、コンサート当日の取材では、カメラが動き過ぎて使えるカットが少なかったり、演奏の途中でカメラを止めてしまったりとミスが多く、編集で苦労した。複数のカメラの間でホワイトバランスが合っておらず、カラーコレクトでも修正しきれなかったため、全体としての画質が統一されず画質も低下してしまったことは残念であった。
この作品の評価については、「登場する高校生達がイキイキとしており、楽しくジャズに取り組んでいる様子が感じ取れた」、「ジャズを通しての国際交流が素晴らしい」というものが多く、番組のねらいはうまく伝わっていたと思う。「画面の画質をもう少しよくすれば、見やすい番組になると思う」という意見もあり、やはり、撮影中のミスが悔やまれた。
この作品の制作を通じて、音楽の演奏シーンを編集することの大変さがわかった。曲調によってのカットの仕方や、繋ぎ方などが異なることを知った。撮影ではミスが多かったが、そのことにより、やってはいけないこと、気をつけなければいけないことを学ぶことができ、勉強になった。また、多くの方々と出会い、お話しする機会を持つことができ、自分のコミュニケーション能力を高めることができたと思う。そして、仲間と協力することの大切さを学んだ。