情報大ステーション2005第12回『1万人が走るおいしい大会〜富里すいかロードレース〜』(2005年9月17日放映)の制作 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成18年度卒業研究概要集] [平成18年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
伊藤 敏朗 ゼミ 平成18年度卒業論文
情報大ステーション2005第12回『1万人が走るおいしい大会〜富里すいかロードレース〜』(2005年9月17日放映)の制作
今 佑太

この作品は、富里市の地場産業振興と町おこしのために開催され、いまや全国的にも有名になった、「富里すいかロードレース」の模様と、このレースに、ボランティアやランナーとして参加した千葉県立富里高校陸上部の生徒たちの活躍を、同部のマネージャーである2名の高校生がレポーターとなって紹介したものである。

富里市のスイカ生産量は全国で第2位を誇る。そのスイカが食べ放題というユニークなマラソン大会が「富里スイカロードレース」である。速さを求めるアスリートもいれば、趣向を凝らしたコスチュームで観客の目を楽しませるランナーもおり、毎年全国から1万人を超える参加者がある、人気の高いイベントである。

映像レポートは、大会のメイン会場となった富里市立富里中学校のグラウンドから始まる。レポーターが、今回のレースに参加する富里高校陸上部員の2人のランナー、そして、ボランティアとして大会に協力している部員たちを紹介する。次に、ランナーの視点からレースを撮影するために考案したウエストポーチカメラを示し、ランナーの二人がこれを自分たちの腰に取り付けてレースの模様を伝えるということを説明する。レースがスタートした後、コース途中の給スイカ所を紹介し、大量に用意されたスイカを映す。いったんスタジオに戻り、持ち込んだ富里産のスイカを、司会者とレポーターが実際に食べ、その魅力をアピールする。再び映像レポートに戻り、陸上部の2人が走る様子を見る。2人は給スイカ所のスイカを食べ、ゴールをめざす。ゴール地点ではレポーターが、1位でゴールした人や、ユニークなコスチュームで走った人にインタビューをする。また、走者のゼッケンに付いたRCチップについて説明し、それらを回収する富里高校陸上部員たちの活躍を紹介する。ゴールを果たした陸上部員の2人を出迎え、レポーターもスイカを食べる。最後に富里市長にインタビューして映像レポートを締めくくる。スタジオではレポーターが「仮装ランナーの"記録よりも記憶に残る走りを"という言葉が印象的だった」と述べ、司会者が「安全に、楽しく走って、おいしい思い出になる素敵な大会がこれからも続いてほしい」とまとめる。

この作品で描きたかったことは、「富里すいかロードレース」というユニークな大会の楽しさと、それを支える高校生やボランティアの方々の活躍である。大会の楽しい雰囲気は、大量に用意されたスイカや仮装ランナーなどの映像を通して十分伝えることができたと思う。また、ボランティアスタッフについて積極的に取材し、富里市民が一丸となって取り組んだイベントだということが表せた。

課題としては、広い場所で実施されるマラソン大会というものを取材する際の、スタッフ間の情報伝達の難しさである。今回の撮影ではコースの各ポイントに撮影スタッフを配置したが、富里高校陸上部のランナー2人の現在地点を刻々とスタッフに伝達するという方法がなかった。そのため、各ポイントの映像がロングショットのみとなってしまい、どこに2人が走っているのか判別しにくい映像となってしまった。これらのカットにはCGで矢印を合成して、視聴者が2人の姿を見つけ易いように工夫してみたのだが、それでも分かりづらい映像になってしまった。

この作品の評価については、「楽しく珍しいレースの雰囲気が伝わってきた」、「高校生と地域のつながりの大切さや重要性を認識した」という意見が多かった。また、「ウエストポーチカメラの映像が見にくかった」という意見もあり、もう少し撮影技法の完成度を高めてから使用すべきであったかもしれない。

この作品の制作を通じて、ディレクターの重要性を学んだ。企画の段階でも、現場での指示にしても、編集作業においても想像していた以上に苦労した部分や、反省すべき点が多かった。映像表現の経験を通して、自分を成長させることができたと考えている。