私が森達也と云う人物を知ったのは大学の図書館である。新刊コーナーにあった彼の著作物である『世界の思考が完全に停止する前に』。題名に惹かれ読んでみたらとても衝撃的だったのを今でも覚えている。とても難しいことが書いてあるわけではないが、森達也の視点、自分と違った視点が見えてくるのだ。これによって、今までの自分の考えを改めさせられた。
森達也の独自の視点はどのように存在するのだろうか。個人意見が違うのは当たり前なのだが、<オウムを通して社会を見る>ということをどうすれば思えるのだろうか、生に対しての矛盾・思考の麻痺・身勝手さを自覚するために、2002年メディアに取り上げられた<多摩川のタマちゃんを食べよう>とどうしたら思うのであろうか。それらの原因である意識、見解を検証していこうと思う。それに際し、彼の著書や映画作品などを材料とし、その中で特出していると思われる語彙・感覚を中心に解いて行こうと思う。特に映画作品である『A』『A2』は森達也を分析する上でとても大切と思われたので、作品紹介を交えながらその中に見える森視点・観念を探っていこうと思う。