これまで、地方局制作のローカル番組といえば、その地域に密着した情報番組が主であった。しかし、最近では地方局でもバラエティー番組やドラマなどを制作するようになり、放送地域の拡大やDVDの発売などによって、全国へ広がっていった。
本論文では、最近注目され始めた地方局発ローカル番組の全国展開について研究した。全国展開のきっかけとなったローカル番組「水曜どうでしょう」(北海道テレビ放送制作)の全国展開を例に、どのようにして番組が地方から全国に広がっていったのか、なぜ多くの視聴者に受け入れられたのかを、出演者・制作者の考えなども交えて検証してみた。本論文では「水曜どうでしょう」の具体的な事例を中心にしているが、他の地方放送局の番組も取り上げて、全国化を図っていった番組の特性は何か、を検証した。
また、多くの関係者の意見を聞くために番組の制作者や視聴者などにアンケートを実施し、ローカル番組全国化の意義を探ってみた。また、全国展開への一環としておこなった番組のDVD化・販売についても、その経緯や意義をまとめてみた。
本研究では「地方から全国へ」をテーマに、全国展開に発展していったローカル番組だけでなく、その他の地方発番組のについても検討を加えた。そして、全国化に向けて取り組んだ制作者の足跡をたどりながら、全国展開していった番組の特性について研究し、ローカル番組の新しい潮流の意義を考察した。