アニメーション作品「機動戦士ガンダム」シリーズは、1979年以来、20シリーズ以上のテレビ番組やビデオ作品、映画として公開されてきた。
2001年からは「機動戦士ガンダムSEED」がテレビで放送され、その続編「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」は2004年に開始された。このシリーズ作品をテレビで見ていて、どこかで見たことある光景だと思った。ストーリーの中で展開する地球連合軍とザフト軍のさまざまな行動が、現実に展開しているアメリカの行動そのものだったのだ。そしてそのストーリーの中に、私はアメリカ同時多発テロ後の現実世界を見た。
近年のアメリカは単独行動主義が目立つ。2003年には国連の決議を無視して、ついにイラクに対し「解放」という名の侵略戦争を始めてしまった。その動機、声高な「正義」の主張、産軍をとりまく背景などを調べていくうちに、現実に起こっている戦争の実相がガンダムシリーズのストーリーと二重映しになって見えてきた。
ガンダムシリーズは、79年に放送されたファーストシリーズから、その時代に対するメッセージを持っているとされる。21世紀最初のガンダムは、その時代を生きる我々にどんなメッセージを投げかけるのか。
本論では、「機動戦士ガンダム」シリーズのストーリーと、現実世界で進行している軍事行動の実相とを対照しながら、ガンダムシリーズが提示するメッセージをベースに、いま世界をゆるがしている戦争の正当性とその実態を検証してみた。