人とのかかわりあいが希薄になっている、人と深く関わることに恐怖を感じる、あるいは深く関わっているつもりだが、メディアやツールの発達によりそう錯覚に陥るという現代。自分では意識しないうちに非常に孤独であったり、自分の考えることと、他人の感じていることに思いをいたすことが足りなかったりということが非常に指摘されている。ラジオというものは、そういう部分を「1人じゃない」「他の人も自分と同じように考えている」自分は世の中とつながっていると思えるような感覚をもてるメディアだ。
そういうラジオ放送が、時代の流れによって大きく変わろうとしている。「地上デジタル音声放送」の開始、いわゆるラジオのデジタル化だ。ラジオというメディアがデジタル化の波の中で変革をせまられている。こうした変化の時代におけるラジオ放送の問題点や将来性について、地域FM放送局の立場からこの論文にまとめてみた。
1章では、まずラジオ放送について、その仕組みや歴史、それからラジオがどう発展してきたか、現状や社会的役割について調べてみた。
2章では、今回取材を依頼した千葉の県域放送局bayfmについて、会社の概要や歴史、どんな特性をもったラジオ局なのか述べている。
3章では、ラジオ局の成績となる聴取率について、聴取率とはどんなものなのか、密かに行われている調査の実態にも焦点をあててみた。
4章では、聴取率の減少や時代の変化にともない放送が開始された「デジタルラジオ」について、実際にデジタルラジオ受信機に触れてみた感想と、それが今後いかなる可能性を秘めているのかを考える。
5章では、デジタルラジオの現状と課題について、外国と比べて日本の進行が遅れているのはなぜか、地域FM放送局にとってどういう課題が残されているのかなど。