本論文は、地域密着型ケーブルテレビの現在・過去・未来に視点を置き、ケーブルテレビの必要性を紹介している。
ケーブルテレビが誕生して早50年。各市町村の難視聴対策の目的でつくられたケーブルテレビが、今ではテレビだけに留まらず、インターネットや電話など、地域に根ざした様々なサービスを展開している。しかし、ケーブルテレビの在り方が問われている今、地域の特性を生かした情報を世の中に伝えていく為にはどのような事が重要になってくるのか、地域に対して果たすべき役割は何なのかについて自分なりの意見をまとめている。
第1章では、「ケーブルテレビの歩みとその特徴」と題して、その発祥から現在に至るまでいちじじるしい変化を遂げたケーブルテレビの歴史や特徴を紹介している。
第2章では、関東地区にあるケーブルテレビ3局を取り上げ、それぞれのテレビ局が地域に密着した活動を展開している様子を紹介している。さらに、関東のケーブルテレビ17局が協力して制作するローテーション番組「EMN情報館」についても触れ、ケーブルテレビ局がたがいに協力しあいながら地域サービスに取り組んでいる現状も報告している。
第3章の「ケーブルテレビと地域の結びつき」では、地域貢献の為に日々活動を行っているケーブルテレビ局の活動を、3つの地域のテレビ局に視点を置き、具体的に紹介している。ここでのキーワードは「郷土愛が会社を支える原動力」である。伝統ある街と新しい街の二つの顔を併せ持つ地域の個性を大切に伝え続ける局、また自らがイベントを計画し、お店を出している局など、ユニークな活動をここでは紹介している。
第4章では、2011年からの地上放送完全デジタル化を前に、多チャンネル放送・デジタルハイビジョン放送・双方向サービスという3本柱にケーブルテレビ局が果たして対応していけるかどうかを検討している。それが実現された時に、視聴者にどのようなメリットがあるのかということについて考えている。コミュニティを生かすケーブルテレビは、地域との温かい結びつきがあってこそ実現されるものだと考えるからである。