日本でラジオ放送が開始されてのは1925(大正14)年である。この論文では、日本でラジオ放送が始まるにあったっての経緯と当時の時代背景、社会の様子と生活の様子、ラジオ放送開始によって庶民の生活がどのように変わっていったかなどを調べ、「放送」と言えばラジオだった時代を振り返り、ラジオ放送がマスメディアとして社会に与えた影響を検討した。
マスメディアの研究では、一般的に「あるメディアの全盛時代にはその実態を把握することは難しい。次世代のメディアの出現によって初めて本当の姿が見えてくる」といわれる。80年前、「放送」という新しい機能のメディア、ラジオ放送が始った。その後テレビ放送が開始され、いまやテレビ放送の全盛期である。こうしたテレビ時代にラジオというメディアが果たした役割を客観的、相対的に検討してみることが必要であると考えた。
そこで本論文では、ラジオ放送開始の時代に、ラジオが社会の中でどのような役割を持ち、どのようなメッセージを伝え、どのように人々に受け入れられていったかを詳しく検討し、「放送」というメディアがもっている社会的な役割・機能を再確認した。