現代のポピュラー音楽に黒人音楽が与えた影響は大きい。それは今流行しているほとんどの音楽のリズムや旋律に見える部分、見えない部分を含めてその影響が表われているからである。それはヒップホップやR&Bといった、いわゆるブラック・ミュージックに限ったことではない。今、一般的にポピュラーと言われる音楽のほとんどにもそういった影響が表われているのである。
本論では、黒人音楽がどう発展してきたか、そしてそれらがアメリカや日本の音楽、ひいては文化にどう影響を与えてきたかを論じる。第1章でロックが登場するまでの黒人を中心にした音楽的な歴史を解説し、第2章ではロックが登場することで社会がどう変わったのかを考える。第3章では日本において黒人音楽や文化の影響がどのように起きているのかを、当時(1950〜1970年代)の日本の若者文化から考察する。人種差別の問題にも触れながら黒人音楽と大衆の関係性を見出す。