現代において様々な音楽が存在する中で1990〜2000年にかけて日本の若者の音楽シーンに大きな影響を与えた音楽「ヴィジュアル系バンド」について私は卒業論文のテーマとして選んだ。選んだ理由としてまず、音楽性に興味を持っていたのと、何よりもこの音楽に惹かれていく若者の文化に興味があったので、このテーマについて書くことを決めた。
本論ではまず始めに、どのような音楽が「ヴィジュアル系」と呼ばれているのかという定義や、1990年代に日本の音楽シーンにおける歴史について考察し、その「ヴィジュアル系」音楽に惹かれる若者達独自の文化について、この若者独自の文化の中には自分達が崇拝するバンドのコスプレをしてバンドのメンバーと一体感を感じ、異性のコスプレをすることによっての性障害、「男らしさ」・「女らしさ」を失っていくジェンダーの部分とコスプレ文化について取り上げた。
しかしこのような問題を抱えながらも、日本のコスプレ文化の発展や、現代における新しいタイプの「ヴィジュアル系バンド」の誕生を経て、今もなお「ヴィジュアル系」は様々な社会現象や、音楽表現形態を有機的に取り込みながら、新世代にわたる伝承を経て、今もなお、継承されつづけている我が国独自の音楽文化なのだと考えられる。