私の身近にある郷土芸能、それが佐原囃子である。「佐原祭り」として関東一円に名前が知られている八坂神社・諏訪神社の祭礼の時、山車の上で演奏されるもので、その豪華さは日本でも屈指の祭りであるといわれている。
なぜその佐原囃子をテーマにしたのか。それは、単純・純粋に祭りと佐原囃子が好きだからである。幼少の頃から佐原囃子を聞いて育ってきて、もっと深くまで知りたいと思ったからである。
佐原囃子の発祥がいつ頃なのかは正確には解っていないが、「天正年間に田楽・散楽(猿楽)・神楽ばやしに源を発して、享保6年(1721)ごろに江戸文化の影響を受けて発達してきた」といわれている。曲目は大別して「役物」・「段物」・「端物」からなっており、端物の唄物(唄があるもの)は明治以降のものが殆どだが、本下座といわれる段物や役物の曲名などは歌舞伎を中心とする音曲や江戸祭礼囃子の影響が色濃く見られている。佐原囃子は数々の音や曲を取り入れたり参考にしながらも、巨大な人形・大胆かつ繊細な彫刻等で彩られたケヤキ造りの重い山車の曳き廻しに対応する独特の祭囃子を創りあげた。
本論文は、佐原囃子の「発祥と由来」、「使用される楽器」、「演奏される楽曲」と大きく三つに分けてまとめたものである。本論により、私と同じように佐原囃子、そして郷土芸能に関心をもっていただけたら幸いである。