日本の衣の文化、それらを彩ってきた染色文化について私は興味を持っていました。しかし、私は染色そのものについて、今までほとんど知ることはありませんでした。現在では、主に化学染色により染色が行われていますが、古来より行われてきた「草木染め」から、染色を勉強することから始めました。そして、染色文化を追っていくうちに江戸時代に大きな発達を遂げた「小紋」というものを知りました。「小紋」はその名の通り、目に見えるかどうかというような細かい模様に染められています。
日本には他にも「友禅」、「紅型」といった華やかな染色文化の中で、「小紋」は実に地味なイメージです。何故そんな「小紋」が発達していったのでしょう?その魅力は何なのでしょう?本論文では、「草木染め」と「小紋」と言う二つの要素から、日本の染色文化の歴史と「色」・「模様」が織り成す世界を考察していこうと思います。