中国市場における日本の携帯電話 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成17年度卒業研究概要集] [平成17年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
小宮山 隆 ゼミ 平成17年度卒業論文
中国市場における日本の携帯電話
尤 熹

最新の統計データによると2005年9月末の中国国内の携帯電話契約件数は3億7000万人。日本の総人口の2倍以上の人々が携帯電話を利用しています。2001年に加入者数でアメリカを抜いてからもその勢いは止まることがなく、1ヶ月で500万人以上の新規加入者を獲得し、世界一の携帯大国として依然成長を続けている。

かつて日本経済の強さを代表する感のあった日本の電機メーカーの国際競争力が低下している。韓国企業には既に様々な分野で凌駕され、中国企業も台頭し、アメリカ企業も事実上の業界標準を握る戦略で息を吹き返す中、日本の電機メーカーは新たな発展軌道をなかなか見いだせない。日本の電機産業がおかれているそうした状況を象徴する代表例が本研究で取り上げる携帯電話端末である。日本の主要な携帯電話端末メーカーは5%前後の世界シェアを維持しているが、その市場はほぼ日本国内に限定されている。

ところで、今なぜ中国で携帯電話が伸びているのであろうか?その理由としてまず海外メーカーの参入が挙げられる。未開拓だった中国にノキアやモトローラを筆頭に、シーメンスやエリクソンが参入してきて、あっという間に中国の携帯電話市場は海外メーカーで占められてしまった。しかしこの海外メーカーの参入が、中国が携帯大国として成長する火付けになったのは言うまでもない。ではどうやって巨大な成長を遂げたのか?携帯電話本体価格は中国の場合、1万8000円から7万2000円と日本よりも割高である。これは1カ月分の収入以上の額に相当にする。にもかかわらず伸びているのは、それでも携帯電話のほうが固定電話をひくのより安いからなのである。これら2つの理由により、携帯大国、中国が作られたと言っていいだろう。