情報大ステーション2004第12回『博物館で遊び体験・乗船体験〜浦安市郷土博物館・境川乗船体験〜』(2004年9月17日放映)の制作 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成17年度卒業研究概要集] [平成17年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
伊藤 敏朗 ゼミ 平成17年度卒業論文
情報大ステーション2004第12回『博物館で遊び体験・乗船体験〜浦安市郷土博物館・境川乗船体験〜』(2004年9月17日放映)の制作
澤田 暁広

この作品は、2名の高校生レポーターが「浦安市郷土博物館」を訪れて、その展示活動などを見学するとともに、同館が実施する「境川乗船体験」に参加して、実際に船に乗って、川から浦安の町を探訪した様子を紹介したものである。

「浦安市郷土博物館」は、漁師町として長い歴史を持つ浦安の郷土資料を保存・収集し、その地域文化の姿を次世代へ継承していくことを目的とした博物館である。

映像レポートでは、博物館1階のテーマ展示室「海と共に」で、浦安の海の魚たち、漁法など、そして海面埋立が進んで変化していった浦安の姿について紹介していく。次に屋外に出て、漁師町として活気に満ちていた当時(昭和27年頃)の浦安のまちを実物大で再現した展示場を見ていく。この屋外展示場の中には、昔の浦安を知る市民たちのボランティアグループ「もやいの会」のメンバーが常駐していて、地元の昔話をきかせてくれたり、子供の遊びを教えてくれる。つぎにレポーターは、同館の近くを流れる境川での「乗船体験」に参加する。手漕ぎの小網船に乗った後、船を乗り換えてエンジン付の投網船に乗りこみ、川を遡上しながら浦安の町を訪ねる。最後にスタジオで、高校生レポーターが「歴史的な知識だけではなくて、町の風景や人々の生活感といったものにまで触れることができた気がした。」と述べ、司会者が「人と人のつながりを大切にして作られている新しいコンセプトの博物館」とまとめる。

このように、同博物館では、ボランティアの方との交流や乗船体験などを通じて、浦安の歴史と文化を深く学ぶことができ、変貌著しいこの地域にあって、郷土愛やアイデンティティーを育むという大きな役割を果たしている。そのことが、浦安の将来の街づくりへの認識を高めることにも貢献するものと思われる。番組のテーマも、人々の「絆」というものをキーワードとして、この博物館の魅力を伝えようと考えた。

そこで例えば、屋外展示場の取材中、ボランティアの方に昔の遊びである「ベーゴマ回し」を教わって、高校生レポーターと大学生スタッフが(取材を中断して)ひとしきり遊びに熱中してしまう姿、また乗船体験中に、小さな魚が投網船の中に飛び込んできて、乗客たちが大騒ぎになり、それを高校生が手で拾って川へ逃がしてやるシーンなど、ハプニングというべきカットもわざと用いて、番組全体として人間的なあたたかさを感じられるような構成とした。

なお、この乗船体験の取材では、高校生がカメラ1台、学生スタッフ2名が各1台のカメラを持って船に乗ったほか、船が通過する橋の上にもカメラ5台を待機させて撮影をおこない、合計8台のカメラを駆使することによって、乗船体験の全貌を船の中と外から、スムースなカットのつながりで描くことを試みた。

番組についての評価では、「博物館の楽しさが伝わってきた」、「一度行ってみたい」という意見があり、また、ベーゴマ遊びや船に飛び込んできた魚について触れたものも多く、テーマのねらいが当たったものと思われた。その他、「もっと遊び体験についてふやしたほうがよい」、「展示についての解説が十分でない気がする」などの意見もあった。番組として、人間的な交流(絆)にテーマを置いたための評価と思われるが、このあたりのポイントの絞り方に難しさを感じた。

この博物館の取材を通じて、同館が、職員の方々はもちろん、ボランティアの人々の協力やその人柄など、多くの支えによって築かれていることが強く感じられた。このような心の通った博物館活動に、映像番組の制作を通じて接することができて、「もの」と「人」の結びつきというものを深く考えることができ、そこに博物館やメディアが果たすことのできる役割、その可能性や広がりを実感できたことは大きな収穫であった。