この作品は、千葉県の健康増進の拠点である「千葉県スポーツ科学総合センター」に3名の男子高校生が訪問して、施設の機能やサービスを紹介し、実際に「県民健康体力測定相談」のメニューを体験して、自身の健康管理や運動能力について考えるというものである。
「千葉県スポーツ科学総合センター」は、スポーツ科学に基づいた県民の健康・体力づくりを目的に、体力測定相談などの健康支援活動を実施している。
映像レポートは、高校生レポーターが同センターを訪ねるシーンから始まる。まず、血圧、身長、体重、体脂肪、骨硬度を測る。続いて、ストレッチ、エアーバイク、長座体前屈、全身反応時間、垂直飛び、握力、反復横跳び、上体起こしを行なう。スタジオに戻り、高校生たちの体力測定の結果を1人ずつ発表する。再び映像レポートにもどり、同センターの職員からの総評を紹介する。最後に高校生たちが、「体力測定は他人と競い合うものではなく、まず自分自身の体力や健康についての自覚を持つことが大切なのだと思った」との感想を述べ番組を終わる。
この番組で描きたかったのは、あまり体力には自信がないという高校生達が、今回の取材に協力して懸命に体力測定に挑戦し、その結果、日常からの健康管理、体力づくりの大切さにめざめるというプロセスである。番組の冒頭で高校生たちは「僕たちはコンピュータ部に所属しており、体力には自信がない」と述べているが、情報大生ももとより、現代人の多くが健康管理や体力づくりをおろそかにしていることに警鐘を鳴らしたいと思った。また、普段はあまり測定する機会のない骨硬度や、全身反応時間の測定なども行えるという、この施設とプログラムの充実ぶりについてもアピールしたかった。構成をわかりやすいものとするため、映像レポートの前半は体力測定の場面、後半は職員からの総評と指導場面、と明確に区別した。体力測定の場面では、多くの測定項目について、なるべくスムースでリズミカルに見てもらえるように、カットやコメントを短くつなぎこんだことで、テンポの良い作品になったと考えている。
反省点としては、出演者が終始やや緊張ぎみで、体を動かすことの楽しさをうまく伝えることができなかったと思えるところで、われわれスタッフがもっと出演者とコミュニケーションを図り、気楽に撮影に臨んでもらえるようにしなければいけなかったと思った。
この番組の評価としては、「あまり運動をしていないので、一度測定をしてみたくなった」などの意見があった。また「高校生ではなく、一般成人が受けた場合、どのくらいの時間がかかるかなどの情報が欲しい」という意見もあった。制作者としては、学生・若者を対象とすることを念頭に番組を作っていたが、テレビ番組では、より幅広い年齢層の人々にも有益な情報を提供するような作り方を心がけるべきだったのではないかと思った。
この作品の制作を通じて、自分がこのようにしっかりとした番組を完成することができたのは、「作品を良いものにする」という目的を共有するスタッフの団結の賜物だと思えた。ひとつのものを仲間と共につくるという貴重な体験ができたと考えている。