この作品は、千葉県立佐倉南高校の文化祭「南櫻祭」を紹介するとともに、文化祭を統括した同校の生徒会長と文化委員長の活躍、そして文化祭を舞台に活き活きと活動した高校生たちの姿を描いたものである。
佐倉南高校文化祭は「南櫻祭・文化の部」と呼ばれ、その2004年のテーマは「ORIGINAL COLOR」であった。これは、生徒たちがそれぞれの個性を活かした文化祭にするという意味で、この目標にむかって全校生徒たちが準備を進めた。その準備作業の模様は、生徒会長らが自らビデオカメラで記録してくれた(ビデオカメラは情報大から貸与)。この文化祭は1日目の校内発表と、2日目の一般公開と、2日間行われ、学生スタッフはその2日目に取材に入った。
映像レポートでは、まず文化祭の準備作業が進む様子を紹介した。ひとつの机を囲んで会議をしたり、出し物で使う小道具などを制作している生徒たちの様子を紹介。スタジオに戻り、生徒会長と文化委員長としての隠れた苦労話を聞き、再び映像レポートにもどって、文化祭当日の様子を伝える。大掛かりな入場ゲートから入り口に並ぶ看板、校内の混雑、各教室で行われているクラスやクラブごとの出し物などを見て回りながら生徒たちにインタビューしていく。クラスごとの団結を深めようと、自分たちでデザインした揃いのTシャツが目立つ。お化け屋敷ではお化けに扮した生徒の最高の笑顔があり、入場ゲートを作った生徒は文化祭当日の雨で壊れてしまった展示物を見ながら、「夏休みも返上して準備をしていたのに」と残念そうに言う。校長先生へのインタビューの後、スタジオに戻り、レポーターと司会者が文化祭の楽しさや意義についての感想を述べて番組は終わる。
この作品では、学校とは授業の勉強をするだけでなく、みんなで協力してひとつの目標の達成に向かっていくことの素晴らしさを体験するところでもあるという点を強調したかった。実際、映像レポートのなかに描かれた高校生たちが、それぞれ自分の役割を一生懸命こなそうと努力している姿には素晴らしいものがあったと思う。
番組制作の進行上、準備段階を撮影した映像が大学に提出されたのはかなり後日になってからで、事前に得られた情報がごく少なかったこと、取材当日も十分な撮影時間がとれなかったことなど、計画不足だったことは反省点である。編集段階では、その内容について高校生と何度も連絡をとりあって番組のイメージを作っていったが、佐倉南高校の文化祭が他の高校と比べてどこに特色があるのかなど、より深い部分まで描くことができなかったのではないかという思いが残った。番組の評価としては、高校時代を思い出して懐かしく面白かったという意見があり、制作者としても同感であり、この番組の成功している点だと思う。
この番組制作を通じて、ひとつの番組でも見る人によって意見が大きく違うということを知った。批判的な意見についても、その理由も理解できるところがあって、納得して受け止めた。褒める意見を貰えたことは、自分で作った作品だけに嬉しいものであった。