情報文化学科は本収録の卒業論文執筆者達を送ると満十歳になる。ここ に収められた論文集はそのひとけたの年を飾るものとして、これまでの概 要集にもまして意義深いものであろう。
このように過去を振り返るよすがとしても本集が将来諸君の役に立ち、 常に立ちもどる青春時代の輝きとなってこれからの人生を力付けてくれ るものと考える。学生時代はあらゆる世俗の利害と一定の距離を取れる点 で人生のオアシスなのである。たとえ不十分なものであれ、とにもかくに もひとつのテーマを決めてこれに突き当たって行った経験は貴重である。
論文を書くというのは一生に一度(実に卒業論文は通例は一生に一度だ けであろうが)という皆さんも多いかもしれない。
君たちはまもなく社会人である。今後は、この自らのオアシスとどういう距 離をつくってゆくのか、諸君ひとりひとりの人生での歩みに期待しよう。
情報文化学科で学んでくれて有難う。
再会を期すことにしたい。