「協和性理論」は音と音の周波数がどのくらい離れていると協和音や不協和音と評価するのかについて研究した論文である。
今回はその協和性理論を元に、「二成分だけからなる最も簡単な複合音の協和性」について研究した西村ら、桝田、由田の研究について、更に追及した実験を行った。桝田、由田の実験では「和音の低いほうの音を440Hzから+-10%の範囲でランダムに変化させた実験」、「和音の低いほうの音を440Hzに固定した実験」、共に、16種類の和音を使用するため、それらの組み合わせの総数である240通りもの組み合わせについて2セットずつ評価をしてもらう必要があった。このやり方での、聴取にかかる時間、また被験者の疲労などに対し問題を感じた。よってこの問題を解決するために今回は2つの実験に使用する音を9種類、72通りの組み合わせまで減らした場合と、従来の16種類、240通りの組み合わせを調べた由田の実験結果を比べ、その効果を調べた。
今回の実験結果から、被験者7名全員に共通するような結果は得られなかったが、実験に使用する音を減らした場合であっても125セントを最も心地悪いと感じることや、1200セントをその前後の音よりも心地よいと感じるというように、従来の実験にもあった特徴がみられた。