映画や音楽等を聴く環境はサラウンド再生になり5.1chや6ch等と多様化している。今後より臨場感を得るためには、多くのチャンネル数が必要になり水平面方向だけでは限界があり、垂直方向への配置が必要になると考えられる。そこで「正中面方向」に焦点をあて、本実験では正面から正中面上方向に移動する音像滑らかさについて調べる。
刺激音が聴取位置の正面(0°)から正中面上方向へ移動するとき、正中面上方向のスピーカーをどの位置に配置すれば音像移動に滑らかさを与えるかを検討した。正面上方向のスピーカーは開き角度30°、60°、90°に設置する。音像の移動時間は1秒、3秒とする。正面と正中面上方向のスピーカー間で刺激音の音像が移動し、この刺激音を聴いて被験者は音像の滑らかさを回答する。その回答されたデータに基づいて、刺激音の移動時間とスピーカーの開き角度が音像の滑らかさに与える影響を求めた。
実験の結果、開き角度は条件内において広いほど滑らかさが感じられ、開き角度90°と音像移動の時間3秒の場合、最も音像が滑らかに移動すると感じられる結果になった。よって、正中面上方向にスピーカーを配置する場合、90°が滑らかな音像移動が感じられる配置位置であるといえる。