報道機関の報道の仕方によって引き起こされてしまう、報道被害が年々増えている。このような状況を変えていくには報道機関のみならず、テレビの視聴者、新聞の読者という立場にある私たちがどのような考えを持つ事で、報道被害を減少させていく事が出来るかを、1994年に長野県松本市で起こった松本サリン事件を例に取り上げ考察した。
この事件では、真犯人であるオウム真理教という宗教団体が報道機関により注目されるまでの長い期間、第一通報者である河野義行が犯人視され、事実とは反する事を報道されるというあってはならない事が起こっていた。このような報道による被害が起こってしまった原因を河野自身と共同通信記者の浅野健一らが、新聞社7社、通信社2社、テレビ局10社に調査を行っている。それらの調査を参考にしながら、本研究も報道機関に調査を行い、双方の調査結果を元に、報道被害が起こる原因を解明。警察の情報を鵜呑みにしてしまう報道機関の体制や、情報の受け手である私たちの体制を今一度見直す必要があるという結論に至るまでを論じている。