本論は、戦争時における報道の問題点や役割について太平洋戦争や9.11、イラク戦争についての戦争報道を分析・検証、考察したものである。
報道は真実を伝えることを目的・任務としている。真実を伝える意志をなくしてしまったのなら、報道とは言えない。それでは単に「宣伝」機関であって、権力のいいなりになっているとしか他に言いようがない。しかし、真実を伝えるということは口で言うほどやさしくは無い。現実問題として、厳重な報道管制と情報操作により「報道の自由」は簡単にひねり潰されてしまっているのである。太平洋戦争時の日本では、軍によって敗北を大戦果として情報を塗り替えて報道した。9.11では、ハイジャックされた旅客機のビルへの突入や世界貿易センタービルの崩壊、逃げ惑う人々の様子をテレビやインターネットなどを通して報道し、多くの人へテロ組織の撲滅と戦争支持の感情を仰いだ。また、イラク戦争でも報道機関は軍からの厳しい報道規制を余儀なくされた。戦争の最大の犠牲は、何よりも「真実の報道」であり、現在世界中のマスコミ界で大きな問題となっている。いつの時代においても、戦争にはこれらがつきものであり、軍や政府によって報道の規制や情報の操作が行われてきたと言ってよい。現代の戦争は、ハイテク戦争であると同時に、「情報戦争」であるといえる。今後の戦争時における報道の役割とは何かを考えていく。