1・はじめに
現在、日本には聴覚障害を持つ人は、全人口の約5%、600万人いるといわれ、また、高齢化社会を迎え、難聴者が急増しているにもかかわらず、街中や交通機関、地域社会、職場、テレビや電話など生活の場でのコミュニケーションの保障、緊急災害時の伝達方法など社会的対応が遅れている。そこで、聴覚障害と聴覚障害者の生活の現状を知るとともに、映像メディアは現状で聴覚障害者をどのように支援しているのか、そして映像メディアにどのようなことが望まれているかを調べた。
2・聴覚障害と聴覚障害者の生活について
聴覚障害者の生活は、自宅内、外出先ともに様々な問題があり、そのため音の代わりに光や振動で情報を伝える様々な機器が開発・販売されている。しかし、非常時のことなどを考えると充分であるとはいえない。
3・映像メディアの現状
テレビなどの映像メディアでは、音声情報を文字として伝える字幕放送が行われており、年々増加している傾向にある。しかしその一方、手話放送は放送時間が圧倒的に短いうえに、年々減少傾向にある。先天的に聴覚に障害を持つ人の多くは日本手話を第一言語としていることを考えると、放送事業者及び行政には、手話放送の増加・充実への努力が求められる。
4・映像メディアの今後
日本の地上波テレビのデジタル放送では、今までのアナログ放送よりも多くのデータが受信できるようになることから、要約の程度の多様化(全文字幕から意味が通じる程度まで)や言語の多様化などが期待される。
5・結果と考察
今回調べて、聴覚障害者の人々の生活が想像以上に大変なこと、周囲からの理解など、多数の困難があることを知った。また、想像以上の番組に字幕が付けられていることを知った。今後、字幕放送や手話放送の発展、またそれらに変わる新しい放送の出現などにより、聴覚障害者と健聴者の間に格差が無く、皆で楽しめるメディアが増えてくることを祈りたい。