「ブランド」という言葉からどのようなことを連想するだろう。多くの人ががシャネルやグッチなどといった高級ファッションブランド品を思い浮かべるだろう。しかし「ブランド」という言葉が示すものは商品だけではない。本論文では、私たちの身近にあふれたブランドの近年における変化について考察していく。まず第1章でブランドの定義を確認し、その利点と問題点を挙げた。ブランドは商品に新たな価値を加えるものであり、良くも悪くも消費者のイメージを顕著に表すものである。第2章では、商品製造のプロである製造業ではなく、小売業が製造しているプライベートブランドについて検証した。シンプルで安さを売りにしてきたが、近年の高級化志向や個性を重視するという風潮に、方向性の見直しを迫られている。第3章では第2章の検証を踏まえ、実例としてプライベートブランドのシステムから成功を収めたユニクロを取り上げて、成功の理由や今後の課題を考察した。そして第4章では、国家や地域が生み出す「国家ブランド」について、各国の目指す向性や、それを実現するためのこれまでの取り組みを紹介した。これからの国際化社会に向け、商品を生み出す者が付加するブランドだけでなく、国家ぐるみで世界に自国をアピールするためのブランドが必要になってくる。製品が良くても、無名であったり製造者が認められないということで評価されない商品が多くある。それらを無駄にしないためにも、適切なブランドイメージを付与していくことが重要なのである。