本論は時代背景と共に三社祭の特徴、そして祭りを催すために関わる町の活動と文化の継承を見ていく。祭りは開催する人、見に来る人がいるからこそ成り立ち、そこには人の熱い情熱とそれを取り巻く縁が存在した。
第一章では、日本の祭りの意味を探った。日本では季節それぞれにちなんだ祭りが催されている。祭り一つ一つに大きな意味があり、文化が存在する。日本の古くからの大切な正業は稲作農業である。わが国の一年はこの稲作を中心とする暦年であり、祭りもこれと深くかかわっていた。
第二章では、三社祭の時代背景を見ていく。祭りを催すために関わる神社や町会が時代背景と共にどう変わっているのか。その特徴を書いた。
第三章では、文化を支える町の取り組みを見ていく。文化は薄れてきている。それは、明治以来の西洋化、とりわけ第二次世界大戦後の急速な工業化は、国土や町の美を犠牲にして成長を目指してきた。そして美と知の融合である文化も人々の精神構造の美も大きく消失した。だが、浅草には華やぐ浅草の風景を取り戻そうとボランティアとして奮闘する人々の姿があった。