昔からの老舗が今もなおズラリと並ぶ街、それが浅草。その食文化の中から具体的に一つをとりあげ、その歴史を振り返っていきたい。今回とりあげるのは日本の三大洋食とも呼ばれた「豚カツ」である。豚カツの起源や、どのようにして浅草の町に誕生したのか、そして豚カツを通してその時に生きた浅草の人々の心情や人柄といったものを垣間見たい。紹介する老舗は、カツ吉、松むら、三好弥の三店を直接訪れ、感想、味、考察や、店主から頂いたいろいろなお話を余すことなく述べていきたいのだが、私のようなまだ若くて食文化など興味が少ないといった世代が、食に興味を持ってくれていることは本当に嬉しいようで、それは目を見ればすぐに分かることができた。そして食の世界では特に豚カツなどの専門店などでは、それだけ若者が減ってきているのは間違いない。現に浅草の老舗も昔と比べ現在では半分にまで減ってしまっている。これから先、浅草の町でこのような老舗がどのようになっていくのか私には分からない。もしかしたらさらに減ってしまうかもしれない。しかし、専門店として一本の道を通していくという威勢の良さをこれからもなくさないでほしいと思う。