モンキー・パンチのコミックを原作とする『ルパン三世』のシリーズは、テレビ・劇場アニメ化され、わが国のみならず世界的な愛好者を持っている。本研究は、そのような魅力を備える『ルパン三世』について、その歴史や社会的影響、各作品の特徴など、包括的な考証を試みたものである。原作からアニメ化、実写化されたことによって、どのような魅力が生まれ、あるいは喪われたか、その世界観はどのように展開され、またマーケットはどのように拡張されてきたか、そうした過程で関わった多くの人々は、どのような役割を果たしていたのかなどについて実証的に述べる。アニメ化においては、大隅正秋や宮崎駿なども演出にあたっており、彼らが築いた作風や路線を比較検討することによって、本作が幅広い支持を集めていった過程や、その理由を明らかにする。また、今後の本シリーズの展開や可能性などについても考える。『ルパン三世』という作品は、キャラクターの設定が明快に確立されており、その前提のもとでは多様な物語を生み出すことができる。このようなところが、本シリーズの大きな魅力であり、持続的な成功を遂げることのできる要因になっていると考えられる。